The Blood Heat

2001年4月、東京、浅草、ギャラリーエフでの展示。


KOUJI OHNO'S GHOST
In the realms of the spirits
By Monty Dipietro
(THE JAPAN TIMES / April 3, 2002)


19世紀に起きた産業革命。
人類は機械による大量生産が生みだす物質によってその生活を満たしていった。
欲望のままに繰り返される生産と廃棄は、かつて絶対的な支配者であった自然の破壊を意味した。
精神的な拠り所を失った人類は、かつて想像の産物だった「終末の時」を実感するようになる。
終末への恐怖は、物質文明を否定するどころか、加速させている。
そして、この世界においては、神もまた、その絶対的な力を失いつつある。
だが、物質文明の恩恵を享受し、そして肯定しながらも、人類は精神的な救済を求めている。
物質文明という質量の存在する世界観が、 精神世界という質量の存在しない世界観を肯定する日は来るのだろうか?
もしその日が来るのであれば、すべてを表層で理解することに慣てしまった人類は、
誰しもが持つ「血の温度」を感じることができるだろうか?

木という天然素材によって人体を彫り上げ、鉄骨のフレームの中に浮遊させる大野の作品は、
観るものをその内面へと誘う。
今回の個展では、6点の新作を130年前に建てられた土蔵という記憶の空間に展示し、
物質の世界に埋没した人々が忘れかけている「血の温度」を問う。
[ギャラリーefでの個展の序文、山口剛氏より]

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